★解禁その6★ たまちゃんの「玉手箱あけたら・・・」第6話
たまちゃんの秘話、これまで以上に「不幸」へ落ちていきます。全10話、いよいよ、後半です。
妻は夜中に倒れて、救急車で運ばれましたが、点滴をうけて朝方帰宅できました。
検査の結果、CTもMRIも問題なし。ストレスの可能性が高いと言われ、長女の不登校の話をすると多分それが原因でしょうとの事で安心していました。
ところが、次の日の夜、再び苦しみだし、救急車で昨日とは別の大学病院へ運ばれました。
検査と点滴をして帰宅、そしてさらに次の日も。
3日連続で救急車のお世話になり、そのたびに検査をうけ、問題ないとの事。
3つ目の病院では、点滴の際に大騒ぎになり、あまりに様子がおかしいので精神的な疾患ではないかと先生に尋ねましたが、専門でないのでわからないと言われました。
ネットで調べるとパニック障害という病名に一番症状が近かったので、心療内科を受診しようとしますが、どこも満員で初診は3カ月待ちと言われました。今すぐ診てほしいのにと腹立たしく思い、さらに調べたところすぐに診てくれるというあやしげな病院に出会いました。藁にもすがる思いで受診すると、話もそこそこに大量の薬が処方され、救急車は呼ばなくなりましたが、食事が取れなくなりみるみる痩せて行きました。
また精神的な波が大きくなり、私が診療していると泣きながら帰ってきてほしいと電話がかかってくるようになり、1か月のうち診療日数が5日~10日の月が続きました。
スタッフも来院者も離れていきましたが、どうすることもできませんでした。
妻が10kg痩せたころ、このままではいけないと国立病院に連絡をとり、3か月待ちといわれますが、予約をいれて待つことにしました。
あと数日で国立病院へ行けると喜んでいたところ、妻から電話があり、変な電話かと思い予約を断ったと言ってきました。目の前が真っ暗になり、急いで国立病院へ電話をしましたが、もう別の人が入ってしまったので3カ月待ってくださいと言われました。
頭の中はぐちゃぐちゃでしたが、とにかく必死で説明しました。
「妻は精神的な病気なのに妻に電話して確認するのはおかしい、診療所に連絡して私に確認するべきだ。もうこれ以上待てない。3か月待ったんですよ。もう3カ月は待てない。なんとかお願いします。ぼろぼろなんです。」
私の必死の訴えに渋々時間外に診てくれることになり、体中の力がぬけました。
その後受診し、薬の量が半分になり、時々気持ち悪くなるものの寝ることで落ち着くようになりました。しかし、家事は全くできなくなり、毎日お弁当やマクドナルドで過ごすようになりました。この間、長女に対しては全く関わることができず、ひきこもりは本格化していました。昼過ぎまで寝て、夜から朝にかけて起きるという、昼夜逆転の生活です。ある日、夜中に37階のベランダに立っている姿を見つけ、ぞっとして部屋に入れと怒鳴ったこともあります。仕事、家庭、すべてが暗闇の中で疲れ果てていきました。
そんな中、生活費にも困るようになり、父に相談に行くことにしました。
しかし、父は昔堅気の人間で、妻のことは理解が得られず怠けているだけだと言われ、長女に対しても甘やかして育てているからそんな風になるんだと言われ、私に対してはそんなクズには育てた覚えはないと罵られました。
当時母は癌にかかり、寝たきりになっていましたが、母だけは私に優しい言葉をかけてくれました。
「お父さんは短期だからあんなこというけど心配してるよ。大変だけど、無理しないで、あなたならなんとかできる。家族に優しくしてあげなさい。あなたは優しい子だから、大丈夫よ。」
その瞬間、号泣してしまい、しばらく泣き続けました。
母の言葉で、今がどん底だからあとは上がっていくだけだと気持ちを奮い立たせることができました。
数日後、診療所に父から電話がかかってきました。
母が目を開けないと。
村上 たま
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CHP研究会 会報誌CHAPPY連載「玉手箱あけたら…」
村上先生(第6話)
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